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熊本地震 !!

熊本で、またまた大きな地震が発生しました。
被害にあわれた皆様、並びに関係者の皆様方には心よりお見舞い申し上げます。

前回の本欄で東日本大震災5周年について触れさせていただいたところなのに悲しい災害です。しかも近年の地震予想ではほとんどノーマークに近かった九州での地震です。
被害状況が次々と映し出される中でも、特に熊本の象徴であった熊本城が傷んだ様には胸が痛みます。日本3大名城といわれ他を圧する堂々とした威容には、えも言われぬ頼もしさがありました。そのお城がこんなにも脆く崩れるとは、改めて地震の怖さと残忍さを思いました。物理的にまちやいえを壊すだけでなくこころの支えも一緒にすべて奪ってしまいます。自然の前での人智の至らなさを今さらながら痛感させられました。

今回の地震がこれまでと大きく異なるのは地震の発生回数の多さです。いわゆる余震といわれるもので、今日(5月5日)で発生後3週間を超えますが、ニュースでは昨日も震度4を超える地震が3回発生しているようです。
繰り返される地震で生活の不安は一向におさまらず、建物の被害も大きく広がっています。

大地震が発生すると建物の耐震に対する考え方に新しい課題が突き付けられることがありますが、今回は連続して繰り返される地震に対する耐震性能の考え方について新しい課題が提示されました。1回だけの地震なら耐えられたものが、そのダメージが回復する前に再度の地震に遭遇し壊れてしまったケースが多かったようです。
日本で暮らすかぎり逃れられない地震という災害に対してどのように向き合って暮らしていくのか、また暮らしを支える器はどうあるべきなのか、改めて考えなければなりません。

地震の一刻も早い終息と、被災された方々の一日も早い穏やかな暮らしの回復を心よりお祈り申し上げます。

電力の自由化と原子力発電

東日本大震災から5年がたちました。
震災の日にあたる3月11日前後にはたくさんの震災に関する報道があり、復興のようすがレポートされています。それらをながめていますと、場所によってまちや生活の復興の進み具合いに大きな違いがあるようです。津波からまちを守るための土木的な対策が力強く進められているのに対し、住まいやくらしに欠かせないお店、事業所などの再建は思うように進んでいないように見えます。
なかでも特に目をひくのが原発の崩壊により放射能汚染地域として避難を余儀なくされた地区のまちの様子と、避難された方々から発せられるやりきれない思いです。街も家も残っているのに帰れない、いつになったら帰れるのかわからず全く将来の見通しが立たないくやしさがひしひしと伝わってきます。
そして除染の作業車だけがとおる道路や大量に並んだ除染の廃棄物が映し出される光景には今さらながら原発の持つ怖さを感じます。

一方、電力会社により原発の再稼動が着々と準備され一部再開されたと思ったら、大津で裁判所による運転停止の仮処分決定があり、運転ストップという状況があります。

このような状況下、今年4月から電力の供給が自由化されます。
これまで独占供給してきた地域電力会社に加えて、新しい事業者が電力供給できることになり、消費者は自由に供給事業者を選択できるようになります。
これには、消費者がより安い電気や新しいサービスの提供を受けることができるようになるというメリット同時に、供給の安定性の問題や発電燃料のCO2排出による環境汚染の問題などが残されます。
私たち消費者に供給事業者の選択がゆだねられることになりますが、選択する際には決して価格が安いからといった表面的なメリットだけでは選ぶことのないようにじっくりと検討して賢明な答えを導きたいものです。

新年明けましておめでとうございます

新しい年の幕が開きました。おめでとうございます。
また、遅くなりましたが昨年末に開催させていただきました「大規模マンション修繕セミナー」には多数のご参加ご協力有難うございました。この場を借りてお礼申し上げます。
今年もマンションを取り巻くさまざまな話題を中心に発信させていただきますのでよろしくお付き合いください。

今年予想されるもっとも大きなテーマは、来春に予定される消費税増税にかかわる問題ではないでしょうか
先般の増税をめぐっては、すさまじい駆け込み発注が行われ、資材不足、職人不足の建設業界が悲鳴を上げる状況でした。その結果、増税のコストアップを避けるための繰上げ発注が逆にコストアップにつながったり、仕上がりの質の低下を招いたりした場面が少なくありませんでした。
今度は、この教訓を生かして落ち着いた対応を願いたいと思います。

次に新しいテーマとして、特に高経年マンションでの空き室の問題があります。
一言で空き室と言っても、所有者が転居して処分したいのに売れない、賃貸したいのに入居者が見つからない、また、所有者が亡くなって相続人が見つからない、相続人はいるのに相続を放棄する、などいろんなケースがありますが、このような空き室の増加はマンション生活を維持管理するための費用不足につながるし、建物の劣化を加速度的に促進します。
一方、新しいマンションでは、不動産投資用に取得したオーナーが外国人観光客に部屋をホテル代わりに提供して周辺居住者とトラブルを起こすケースなどが増えてきています。

このような、安定したマンション生活を阻害するような状況の発生に対して、これまでのマンション管理規約では必ずしも有効ではありません。
それぞれのマンションにふさわしい管理のルールづくりと、その見直しが必要な時を迎えているのではないでしょうか

くい施工データ偽装について・・・

横浜の大規模マンションで杭工事の施工に関わるデータ偽装が大きな社会問題となり、当初は一企業の一担当者による問題のように報じられていましたが、その後の調査で、特定の業者や担当者だけの問題ではなく建設業界全体に悪習として根付いている様が報告されています。
建物の安全性を根底から覆しかねない行為には怒りを超え戦慄が走ります。
建築工事は多くの技術者や職人が関わってお互いの信頼関係の中で進められるもので、一から十まで、すべての場面でチェック機能を働かせることは不可能ですが、重要な事柄については後々になってもチェックができるように記録を残すことになっています。
その記録が偽装されていたわけですから何おかいわんやです。
とはいえ、偽装にも2種類あって、不完全な施工をごまかすために悪意を持って意図的に行う偽装と、うっかりデータを記録し損ねたため手続き上のつじつまあわせのため行う偽装とあります。
前者は明確な犯罪ですから言語道断で、出くわさない事を祈るしかありません。後者については多くの場合、現場担当者が杭の施工について経験的な判断(杭の配置や施工時の音の変化や電流強度の変化)に基づいて進めた結果がほとんどなのでダイレクトに安全性の欠如に結びつくわけではありませんが、今回の横浜のように敷地内で地層が大きく変化しているといったような、経験から外れる状況があると問題が生じます。確実なデータに基づいて現場判断するということを徹底すると同時に、竣工後の建物利用者が安心できるための正確な施工記録作成の重要性を徹底させてもらわなければなりません。

今回の横浜での偽装発見も、マンション住民の方が手すりの段差に気づいたのが発端になったように、毎日そこで暮らす人の気づきが大切です。今一度皆さんのマンションについて自主点検をしてみてください。
12月5日に大阪市立難波市民学習センターで「大規模修繕費用が足りない」をテーマに開催予定の協議会セミナーでは自主点検の進め方もわかりやすくお伝えします。
ぜひともご参加ください。

プレゼンという選び方・・・

多くの管理組合が大規模修繕工事を実施する際、設計コンサルタントや施工業者を選ぶのにプレゼンという形式をとっています。
管理組合が複数の事業者を指名して改修工事への取り組み方針などについての説明をうけ、その評価によって発注事業者を決定するというやり方で、私たちもコンサルタントとして選んでもらう立場で参加したり、管理組合が施工業者を選ぶ際のアドバイザーとして立会参加したりします。

前者は、私たちが管理組合にアピールするためのプレゼンで、大規模修繕工事の進め方から、施工業者の選び方、予算計画の立て方等々、精一杯の説明と提案をします。
そして、実務担当予定者の人柄や私たち協議会の取り組みをしっかりと確認していただきたいと思っているのですが、ほとんどの場合時間切れで終わります。
管理組合の皆さんが後悔しないように少しでも多くの事業者さんの話を聞こうとするとどうしても時間不足になるわけです。
もう少し時間があれば、もう少し組合員さんと質疑応答できたら、と思いながら帰ることになってしまいます。質疑応答も含めて1時間程度は欲しいものです。

後者のプレゼンは大規模改修を実施する施工業者の選定ですから、全体の予算や品質管理にダイレクトにつながる事業者選びです。
ここで間違うと後悔しきれない過ちとなります。
このプレゼンでのポイントは現場担当予定者が出席してちゃんと説明できるか、また、現場担当者をサポートするための社内体制(一定の水準の職人確保や管理組合対応など)が組めるか、ということです。
施工業者さんのプレゼンでは数名がチームを組んで手際よく説明が行われ、優劣の判断がむずかしく、結局見積もり金額で決定されることが多く見受けられますが、このような視点を持って参加すると判断しやすくなります。
いずれにしても、プレゼンは管理組合さんにとって改修工事の成否を決定づける大変重要なイベントですからじっくりと話を聞いて見極められるような取組みにして下さい。

現場技術者・職人&施工業者

建設工事は様々な種類の技術者や職人の技術と技能によって完成します。

そのなかでも大規模修繕工事は、工事種目、工事内容が新築工事と比べると比較的少なく進めることができます。工種によっては、あまり経験がなくても出来栄えに影響しないものもあります。しかし、ほとんどの工種で長短の差はあれ、経験は求められます。

ところが、最近の職人不足は相当深刻で、本来、素人では立ち入れない部分にも外国人や学生のアルバイトが雇用されています。特に工事予算と工期を厳しく設定した場合、このようなことがよく起こっています。
定められた期間内に工事を完了するためには、一定の期間に一定の人数の職人を集めなければなりませんが、職人不足の状況で集めるためには好条件(高報酬)でなければならず、予算がない中でどうしても頭数合わせのために、素人のアルバイトでしのごうということになるのです。それで何の訓練もないままいきなり現場作業をまかせ、不備が生じてもそれをカバーできる体制もなくクレームだらけの仕上がりになってしまいます。

このような状況に陥ったマンションを最近よく見かけますが、これは一にも二にも最初の施工業者選びのミスが原因です。
ほとんどの管理組合が低価格で請け負ってくれるということで施工業者を選定しています。営業マンによる、耳触りの良いプレゼンで納得して、肝腎の現場監督や、現場体制についての検証がされていません。また、特に中小の施工業者であれば、他の受注工事の状況を確認し、無理のない職人配置ができるかどうかの確認が必要ですが、全くなされていません。

施工業者選定でのこのようなミスを犯さないことが何よりも重要ですが、それでも不安な業者選定をしてしまった場合は、工期を見直したり、工事内容を見直したり、柔軟で落ち着いた対応が必要です。

理事長さんの悩み

先日、わが協議会に管理組合の理事長さんからいただいた相談をご紹介します。

その理事長さんが住んでおられる約50戸のマンションで第1回目の大規模修繕が行われることになり、管理会社(当初の分譲会社の子会社)の方から示された見積もりで工事を進めることが一旦、理事会で決定されました。ただ理事会といっても名目だけで、理事長さん以外の出席は1名で他は委任状だったようです。
そこで、決定はしたものの本当に良かったのか不安になって身近な周辺の人に相談したところ、ずいぶん高いですよと言われ、それをきっかけにいろいろとご自身で学習を開始されました。その結果、設計監理方式という公正な進め方があることを知り、理事会決定を覆してでもやり直そうと決意されました。
そのための総会を開かれる直前に協議会にご相談いただいたわけです。

いろいろとお話を伺いましたが、理事長さんの一番の悩みは、居住者のほとんどの方々が
あなた任せで、無関心で、管理組合の運営に参加してくれないということでした。見方を変えれば当初管理会社の主導で話が進んでいったように、理事長さんが提案し直せば、安易にその方向で進んで行ってしまう危険性があり、将来に禍根をのこすことになるかもしれないということでした。

このような不安をお持ちの理事長さんは大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

無関心な組合員の中で物事を決めていかざるを得ない理事長さんにとって何よりも大事なのは、組合員さんの実質的な参加と、意思確認をはかりながら公正な進め方をすることです。そのためには透明性を持った運営、すなわちフルオープン型の情報提供が必要です。
必要な情報を印刷物で各戸に配布するということだけでなく、常に目に付き易いところに分かりやすく情報を提供する工夫や、日々のコミュニケーションの中でさまざまな情報交換をはかりながら組合員の方々を取り組みの流れに巻き込んでいく、そんな工夫が求められるようです。

冒頭ご紹介した理事長さんのところでは、設計コンサルを自分たちで選ぶ、一からの再スタートに踏み切られたようです。

定期点検から長寿命化へ

私達の事務所では、昨年からマンション以外の建築物についての改修計画や保全計画の作成依頼が大変増えてきています。

企業の本社ビル、高齢者等の社会福祉施設、病院、ホテル、集会交流施設、等々、建物の種別、規模、構造、建設年度など様々ですが、それぞれの建物を、長寿命化し、長く利用していきたいという思いが背景にある点で共通しています。

これまでは一定の期間利用した後は取り壊して建て替えるという、いわゆるスクラップ&ビルド方式が当たり前でしたが、これからは古くなった建物についても有効な資源と位置づけ、できる限り長持ちさせて活用していこうという流れが定着しつつあります。
また、建物が必要な機能を保持している期間、その維持にかかる総費用をライフサイクルコストと呼び、これをいかに計画的に、且つ廉く抑えるかということも重要なテーマになっています。

建物を長持ちさせるためには、建物の状態を日頃よりしっかりと点検、確認する必要があります。そして長期的な保全計画や修繕計画を立て、それに基づいて管理していかなければなりません。

建物の点検については、国の指導も厳しくなっており、一定規模以上の建物では、建築の状況を3年ごとに調査して報告することが義務化されていますし、施設によっては毎年、設備の状況を報告しなければなりません。

この定期点検報告制度は、直接的には建築の安全性確保のために始められたものですが、この制度を活用することで、建物の長寿命化への取り組みの効果が期待されます。

マンションについても3年ごとに定期報告することが義務付けられましたので、確実に3年ごとに点検されることになりますが、できれば毎年、簡易な点検でも実施することで、不具合を未然に防ぎ、長寿命化、ライフサイクルストの抑制に繋ぎたいものです。

大牟田モデル・・・

先月の23日、24日と連続して九州の大牟田市で、一般財団法人 高齢者住宅財団の主催する、高齢者の住まいと介護に関する研修会が開催され参加してきました。
大牟田市は官民一体となって、地域ぐるみで高齢者(特に認知症高齢者)への取り組みが進められている、地域包括ケア先進地といわれているところです。

初日は見学会で、市営住宅と一体に整備された高齢者施設や、廃校を活用した高齢者住宅、市営住宅と同居する地域交流施設などを見学し、高齢者支援のさまざまな取り組みについて話を伺いました。

大牟田市では、小学校区ごとに、地域交流拠点と小規模多機能ホームを設置し、そこでの日常的な活動と連携を中心として地域包括ケアシステムが構成され、同時にテレビ等で紹介され話題を呼んだ徘徊高齢者を見守る「ほっと安心(徘徊)ネットワーク」が組まれています。

2日目は、行政職員、研究者、実務担当者、学生、市民が一堂に会してのセミナーで、さまざまな視点からの報告と提案がありました。印象的だったのは、多くの方々が、空き家問題と関連付けて報告されたことです。高齢化と人口減少という流れのなかで大量に発生する空き家問題はしっかりと受け止めて対応しなければならないようです。

今回の研修会のテーマである、社会の高齢化と住まいをめぐる問題は、都市部の分譲マンションにおいてもまったく同じです。すでに、高経年マンションといわれる、築後30年を超えるマンションでは、空室が目立ち、介護サービスを受ける入居者も急増しています。

将来をみすえた安心のマンション暮らしをつくるためには、自分たちのマンションだけで完結させない、広く地域と交わり相互に支援し合うといった視点が必要です。
積極的に地域と交流できるスペースを設置したり、空室を地域のネットワークの中で活用する仕組みをつくったり、地域の状況に合わせた工夫が求められるようです。

地震に備える・・・・

9月1日は関東大震災の起こった日で、「防災の日」と定められています。日本各地で防災訓練などの取り組みが行われたようです。

私たちはこの20年足らずの間に阪神淡路大震災、東日本大震災と2度の大地震を経験し、また、そう遠くない時期に様々な地域で大地震の発生が、予想されています。
これまで他人事のように思っていた震災をずいぶんと身近に感じるようになりました。

マンションの管理組合でも、特に築30年を超えるようなマンションでは、耐震補強についての関心が非常に高まっているようです。
先日も、築40年近いマンションで管理組合の役員をしておられる方からメールをいただきました。新しい耐震補強法について、どう思うかということで、参考資料が添付されていました。それは化学繊維を柱に巻きつけて柱の耐力を増強するという方法で、壁とかスジカイを増設する必要がなかったり、施工が大掛かりな重機を使用せず簡易に手工事で進められたりして、これまでのマンションでの耐震補強工事で課題とされている点が相当解消されています。しかし、それぞれのマンションが抱える制約条件は多種多様です。今後も、いろいろな工法が開発、改良されることに期待したいものです。

ところで、地震に備えるということは、以前にもお話したと思いますが、建物を補強することだけではなく、地震が発生した時の「こころの備え」、「モノの備え」もたいへん重要ですし、これらは、各々が今日からでも始められます。また防災訓練なども管理組合として取り組めば、いざという時に何よりの力となる住民間のコミュニケーション力が高まります。何はともあれ、まずは出来ることからスタートしたいものです。

そして、建物本体の補強も今までは何かと制約が多く、なかなか前向きに考えにくかった面は否めませんが、最近は公的な助成制度も整いつつありますし、上でも紹介したように、補強方法としてもさまざまな方式が出現しています。
地震に不安を抱えるマンション管理組合におかれては、大規模修繕と合わせて耐震補強を真剣に考えられてもよいのではないでしょうか。

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