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定期点検から長寿命化へ

私達の事務所では、昨年からマンション以外の建築物についての改修計画や保全計画の作成依頼が大変増えてきています。

企業の本社ビル、高齢者等の社会福祉施設、病院、ホテル、集会交流施設、等々、建物の種別、規模、構造、建設年度など様々ですが、それぞれの建物を、長寿命化し、長く利用していきたいという思いが背景にある点で共通しています。

これまでは一定の期間利用した後は取り壊して建て替えるという、いわゆるスクラップ&ビルド方式が当たり前でしたが、これからは古くなった建物についても有効な資源と位置づけ、できる限り長持ちさせて活用していこうという流れが定着しつつあります。
また、建物が必要な機能を保持している期間、その維持にかかる総費用をライフサイクルコストと呼び、これをいかに計画的に、且つ廉く抑えるかということも重要なテーマになっています。

建物を長持ちさせるためには、建物の状態を日頃よりしっかりと点検、確認する必要があります。そして長期的な保全計画や修繕計画を立て、それに基づいて管理していかなければなりません。

建物の点検については、国の指導も厳しくなっており、一定規模以上の建物では、建築の状況を3年ごとに調査して報告することが義務化されていますし、施設によっては毎年、設備の状況を報告しなければなりません。

この定期点検報告制度は、直接的には建築の安全性確保のために始められたものですが、この制度を活用することで、建物の長寿命化への取り組みの効果が期待されます。

マンションについても3年ごとに定期報告することが義務付けられましたので、確実に3年ごとに点検されることになりますが、できれば毎年、簡易な点検でも実施することで、不具合を未然に防ぎ、長寿命化、ライフサイクルストの抑制に繋ぎたいものです。