先日、わが協議会に管理組合の理事長さんからいただいた相談をご紹介します。
その理事長さんが住んでおられる約50戸のマンションで第1回目の大規模修繕が行われることになり、管理会社(当初の分譲会社の子会社)の方から示された見積もりで工事を進めることが一旦、理事会で決定されました。ただ理事会といっても名目だけで、理事長さん以外の出席は1名で他は委任状だったようです。
そこで、決定はしたものの本当に良かったのか不安になって身近な周辺の人に相談したところ、ずいぶん高いですよと言われ、それをきっかけにいろいろとご自身で学習を開始されました。その結果、設計監理方式という公正な進め方があることを知り、理事会決定を覆してでもやり直そうと決意されました。
そのための総会を開かれる直前に協議会にご相談いただいたわけです。
いろいろとお話を伺いましたが、理事長さんの一番の悩みは、居住者のほとんどの方々が
あなた任せで、無関心で、管理組合の運営に参加してくれないということでした。見方を変えれば当初管理会社の主導で話が進んでいったように、理事長さんが提案し直せば、安易にその方向で進んで行ってしまう危険性があり、将来に禍根をのこすことになるかもしれないということでした。
このような不安をお持ちの理事長さんは大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
無関心な組合員の中で物事を決めていかざるを得ない理事長さんにとって何よりも大事なのは、組合員さんの実質的な参加と、意思確認をはかりながら公正な進め方をすることです。そのためには透明性を持った運営、すなわちフルオープン型の情報提供が必要です。
必要な情報を印刷物で各戸に配布するということだけでなく、常に目に付き易いところに分かりやすく情報を提供する工夫や、日々のコミュニケーションの中でさまざまな情報交換をはかりながら組合員の方々を取り組みの流れに巻き込んでいく、そんな工夫が求められるようです。
冒頭ご紹介した理事長さんのところでは、設計コンサルを自分たちで選ぶ、一からの再スタートに踏み切られたようです。