横浜の大規模マンションで杭工事の施工に関わるデータ偽装が大きな社会問題となり、当初は一企業の一担当者による問題のように報じられていましたが、その後の調査で、特定の業者や担当者だけの問題ではなく建設業界全体に悪習として根付いている様が報告されています。
建物の安全性を根底から覆しかねない行為には怒りを超え戦慄が走ります。
建築工事は多くの技術者や職人が関わってお互いの信頼関係の中で進められるもので、一から十まで、すべての場面でチェック機能を働かせることは不可能ですが、重要な事柄については後々になってもチェックができるように記録を残すことになっています。
その記録が偽装されていたわけですから何おかいわんやです。
とはいえ、偽装にも2種類あって、不完全な施工をごまかすために悪意を持って意図的に行う偽装と、うっかりデータを記録し損ねたため手続き上のつじつまあわせのため行う偽装とあります。
前者は明確な犯罪ですから言語道断で、出くわさない事を祈るしかありません。後者については多くの場合、現場担当者が杭の施工について経験的な判断(杭の配置や施工時の音の変化や電流強度の変化)に基づいて進めた結果がほとんどなのでダイレクトに安全性の欠如に結びつくわけではありませんが、今回の横浜のように敷地内で地層が大きく変化しているといったような、経験から外れる状況があると問題が生じます。確実なデータに基づいて現場判断するということを徹底すると同時に、竣工後の建物利用者が安心できるための正確な施工記録作成の重要性を徹底させてもらわなければなりません。
今回の横浜での偽装発見も、マンション住民の方が手すりの段差に気づいたのが発端になったように、毎日そこで暮らす人の気づきが大切です。今一度皆さんのマンションについて自主点検をしてみてください。
12月5日に大阪市立難波市民学習センターで「大規模修繕費用が足りない」をテーマに開催予定の協議会セミナーでは自主点検の進め方もわかりやすくお伝えします。
ぜひともご参加ください。