建設工事費がじわりじわりと上昇しています。
先日来、私どもの事務所で工務店に依頼した工事見積もりが、連続して、予算をはるかにオーバーした驚くほど高い金額であがってきています。
関係者それぞれ曰く、東北大震災の復興工事の影響で材料も職人も不足しているから、また、消費税アップを控えての駆け込み需要が増えているから、さらにはアベノミクス効果で不動産投資の動きが活発になってきたから、などなど様々な理由が添えられています。
建築工事費は長引く不況の影響もあり、この10数年間は大きな変化がなく推移してきましたから、受注側(工務店)からは安値安定で苦しい、という声もあがっていたものの、発注側(事業主、設計者)としては、予算についての取り組みをほぼ計画どおりスムーズに行うことができてきました。
それがここにきて大きく状況が変わり始め、発注する側には工事内容や予算の見直しも含めた冷静な対応が求められています。
何よりも、このように状況の変化の中で注意したいのは、値上がりしそうだからといって、焦って急いで契約発注したり、見積もり金額が安いということだけで業者を決めたりしないということです。
値上がりの背景や要因が、一時的な事象によるものであれば時間の経過で価格は落ち着いてきます。社会背景と重ねた価格動向を冷静に見極め、発注のタイミングを判断することが必要です。
また、発注する際には特に、信頼できる専門家に見積もりの中味をチェックしてもらうことが重要です。価格が上昇し始めると、値上がり要因のないものまでが便乗的に値上げされたり、不要なものが含まれていたり、仕様が変更されていたりするようなケースがよく見られます。
大切な予算をより有効に活用するためには、経済環境が厳しければ厳しいほど、しっかりと落ち着いた取り組みをしたいものです。