さる12月1日、関西地区では第10回目となる「マンション大規模修繕セミナー」を、弁天町市民学習センターにおいて開催しました。大阪のみならず、京都や神戸からの参加者も含む約30名が参加され、熱心に耳を傾けられました。
今回は、「高齢化をめぐるマンション管理」と「設備配管の改修」を主なテーマに取り上げ、まず、入居者の高齢化によって近い将来起こりうる「修繕積立金の不足」や「管理組合運営の破綻」について、長期修繕計画の見直しや第3者管理方式の導入などによる取り組み方策をお話しました。
続いて、建物の高齢化(高経年化)によって確実に訪れる設備配管等の老朽化と、その対応策については、配管方式や配管材料の紹介と併せたコスト比較もまじえ詳しく説明しましたが、どちらも参加された管理組合の皆さんにとって身近で深刻なテーマだけに、大きく頷きながら聞き入っておられました。
質疑応答にうつり、テーマの具体例についてのやりとりが繰り返された後、ある管理組合の役員さんから、自分のマンションは先日、大規模修繕工事を設計監理方式で終えたところで、スムーズにことが運んだが、他の役員さんからコンサル抜きの責任施工方式でも良かったのではないかという声があがっている。このことについてどう思うかという質問が出されました。
これはよく出される質問ですので少し解説しておきます。
コンサル抜きの責任施工方式は決して誤った方式ではありませんが、この方式で将来に問題を発生させないためには、大切な品質監理を誰がどのように行うのか、といった問題や、公正で透明性のある業者選定をどのように行うのか、といった問題を事前に明確にしておく必要があります。しかし、そのためには管理組合として相当な専門性と活動エネルギーが求められます。
管理組合の中には専門家が積極的に関わってスムーズに運営されているところがありますので、そのようなところでは責任施工方式で予算効率を上げるのも一手かと思いますが、素人のみで取り組む場合は、信頼出来る専門家(コンサル)に依頼し、設計監理方式で進める方が、トータルコストを抑える結果につながります。
私たちは、これまで、コンサルの費用を惜しんだ結果、最終的に高い費用負担をしてしまった管理組合をいくつも見てきました。そのような過ちを犯さないために、それぞれの管理組合の状況に見合った方式を選択して下さい。