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高齢化を見すえて・・・

今、私の事務所で「高齢者居住安定化プロジェクト」という国土交通省のモデル事業に取り組んでいます。
これは、高齢者が安定的な暮らしを送っていくための住まいづくりについて、国が広く提案を募集し、その中からいくつかをモデルとして選定し、補助金によってその実現をサポートしようというものです。

ところで、高齢者が安定的な暮らしを送るためにはどのようなことが必要なのでしょうか

これまでよく言われてきたのは、安全で安心できる住宅であるためのバリアフリーであり、生活ケアです。

これらは、もちろん欠かすことのできないものですが、私たちは、より元気に、もっと生き生きと暮らしていくうえで何が大切かということについて考えました。

そして、高齢者がより元気に暮らすためには、一人一人が自信とプライドをもって暮らしていくことがきわめて重要で、そのためには一人一人が自分自身の存在を意識できる自分の「場」を持てるようにすることが大切なのではないかと考えました。

日々の生活には様々な場があります。それは仕事の場であったり、趣味の場であったり、ご近所さんとの交流の場であったり、また、家という狭い範囲から、ご近所さん、さらに地域という広がりまでさまざまです。

どこでもいいから一つ、確かに自分を感じられる「場」を見つけられるようなハード、ソフトの仕掛けを創ろう、それが今私たちが進めているプロジェクトのテーマです。

マンションの大規模修繕でも、特に築年数の高いマンションでは、高齢者に配慮したバリアフリー化がテーマとして取り上げられますが、これからますます拍車がかかる高齢化の流れの中では、高齢者がより生き生きと暮らしていくための仕掛けをプラスすることが、大変大事なことになってくると思います。

そのための知恵をみんなで出し合うことを、今から始めてみてはいかがでしょうか