先月の芦屋セミナーに参加された方からの相談依頼で、明石大橋を一望する風光明媚なところに位置する築42年のマンションに行ってきました。
民間ではなく公共によって手がけられた典型的な公的分譲マンションです。
1フロアー2戸の4階建て、1棟8戸のマンションが7棟、広い敷地内にゆったりと建っています。これらはいずれも鉄筋コンクリート造壁式構造で、当時の基準によりエレベーターはありません。
数年前に外壁塗装や防水などの修繕工事を実施し、現在給排水設備の更新工事を実施中です。また、耐震診断もすでに実施済みで、こちらのほうは壁式構造ということもあり、大変丈夫で、全く問題なしとの結果がでております。現に阪神大震災の時もびくともしなかったようです。
このように、現状では建物の維持管理上はほとんど問題ない状況ですが、理事長さんは、数年後に訪れる次の大規模修繕時期をどのように考えるか悩んでおられます。
構造体としては、まだこれから先100年以上大丈夫との太鼓判があるものの、住宅の間取りや設備が時代に合わなくなっていたり、エレベーターがないなどのバリアフリー対応ができていないことを考えると、建替えを選択するほうが良いのではと思っておられます。
入居世帯も70歳以上が半数以上を占めており、これからの更なる高齢化を考えると、バリアフリー化、特にエレベーターの設置は強く望まれます。
だからといって、皆んなが建替えに賛成というわけではありません。建替えに伴う費用負担や、建替え期間中の仮住まいのことなどを考えると今のままでよい、という意見が根強くあります。
そこで理事長さんは、数年後に訪れる次の大規模修繕時期までに建替えについての方向付けができるような取り組みをこれから始めたいということで相談にこられたのでした。
これまでの経過を考えると、いきなり建替えの話し合いということにはなりません。混乱を招くだけです。そこで、将来をみすえて、自分達のマンションにふさわしい選択はどうなのか判断していけるように、いろんな角度から比較検討したり、学んだりする取り組みを始めようということになりました。私達はこの取り組みを精一杯応援するつもりです。
築30年以上のマンションでは、同様の悩みをお持ちの管理組合も多いと思います。建替えは、いざ実施と決めてからでも非常に長い時間を要します。自分達のマンションにふさわしいのは大規模修繕なのか建替えなのか、じっくりと時間をかけて納得のいく答えを見つけてください。